2014年11月14日金曜日

詩「わたしのなかのやまへ」

大人といふものに成るにつれて遠ざかるのは
あの日 岐阜の山にて聴いた 木々のゆらぎと掠れの音か
宵闇深く明けずとも
この先にまた 光指すとも 差さずとも
消えゆく声に 耳を澄ませて
飽くなき喧騒の日々は
時に 嫋やかに 時に 眩暈を催すやうに
そっと わたしの肩に ふれてくる
強張った両肩は あの日のわたしの怖れだろうか
亡くしてしまうあの日わたしの嘆きだらうか
夢酔い遊び戯れて
いま ひとたび 思い遣らん
歩けば尊し 世は情け
風の吹くまま 欠伸をすれば
再びこの耳 何を聴く
わたしのなかにある山は
いまも 静かに ゆれています

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