2015年4月22日水曜日

詩 「ひかりの毛布につつまれて」

ひとりもいない田園に
ひかりが
ふくらんでいた
やわらかに
ふくよかに
ひかりは
ふくらんでいた

あめつちを照らす太陽は
地球に無限の手をのばす

ひかりは
空をあたためる毛布

空にくるまれたまま
ひかりの絹を
おなかいっぱいすいこんで
煙のように立ち込めた死のかたち
その輪郭を
慎ましやかに
照らしだす

草も
木も
鳥も
すべての生き物が
ひかりの毛布につつまれて
生きているかたちを
地面に映し出される
生ずるは
濃厚な灰色
おのおのの輪郭は溶け合い
隠された死のかたち
ひとつの姿へと
帰るのだ

0 件のコメント:

コメントを投稿